ピロリ菌の検査比較

一言:ピロリ感染胃炎と診断するのには内視鏡検査が先。内視鏡で胃炎の確定診断がされてないとピロリ菌の各種検査は行えない。(直近6ヶ月以内の内視鏡が必要)

ピロリ菌に感染していると必ず慢性活動性胃炎になるので、胃がんのリスクが有る。日本では必ず胃がんの有無をチェックしてから除菌するようにということになっている。

検査の種類

内視鏡でピロリ菌胃炎が疑われる場合に、以下の6項目のうちのいずれかの検査を行う。

内視鏡が必要迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法

内視鏡を必要としない血中・尿中抗体測定法、尿素呼気試験、便中ピロリ菌抗原測定法

の検査法のなかから1種類を用い、複数の検査法を用いることが勧められる。

検査の優先順位

①感度と特異度の高さから、尿素呼気試験が最も推奨される。13C-尿素を含んだ検査薬を飲む前後に容器に息を吹き込んで呼気を調べる。(ガイドラインで推奨)ただしPPI内服の影響を受ける。

②便中H.Pylori抗原検査:死菌も含めて抗原に反応する抗体を利用。PPI内服の影響を受けないメリットあり。尿素呼気試験と同様に勧められている。

・血清抗体測定法は、非侵襲的で利便性に富むが、除菌判定は除菌前と除菌後6カ月以上経過時で同じ抗体測定法で定量的な比較を行い、抗体価が前値の半分以下になった場合に除菌成功と判定(非常に時間がかかる)

除菌後の検査のタイミング

・除菌薬の服用が終わってから4週間以降に検査を行う。

・尿素呼気試験では、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を飲んでいると偽陰性率が高くなるので、最低2週間休薬後(できれば4週間休薬後)に検査を行う。

陰性であれば、別の機序の検査で再度確認を行う。

2種類の検査で陰性であれば、ピロリ菌陰性(もしくは完全に除菌状態)と判断する。

TIPS

除菌後も胃がんの発生が報告されているので定期的な上部内視鏡検査が必要

どうしても内視鏡を嫌がる患者さんにへの対応:内視鏡検査を施行しない場合、現時点ではピロリ菌の感染診断を保険診療で行うことが出来ない。

参考

https://www.jsge.or.jp/member/shikkan_qa/helicobacter_pylori_qa

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