栄養療法の際にはビタミン欠乏にも気を配る。主なものは次の通り
ビタミンB1(チアミン)
不足するとウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群、脚気の原因に。低栄養患者でブドウ糖投与の際はビタミンB1も消費されて更に枯渇してしまうので、ブドウ糖の前にビタミンB1を先行投与もしくは同時投与することを忘れない。
ビタミンB1の必要量は1mg/dayであるがビーフリードには0.75mg/day程度含まれている。
ビタミンB1欠乏は意識障害の原因となるので、意識障害の患者が来たら結果が判明するまではビタミンB1補充を行っておくのが無難。
ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール)
不足すると皮膚炎や舌炎、神経症状などが出現する。抗結核薬のイソニアジドにてビタミンB6が低下するために補充のために処方されることもある。
必要量は1mg/day
ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン)
不足すると大球性貧血や神経障害、認知機能低下の原因になる。胃全摘後や慢性胃炎、PPI投与中に出現しやすい。
必要量は2.5μg/day。神経症状などがあれば点滴での補充がベター。
ビタミンB12の基準値は180-914pg/mlだが300pg/ml程度の正常範囲内でもビタミンB12欠乏は否定できない。
葉酸
メトトレキサートやST合剤などの内服により不足する。
メトトレキサート投与時にはフォリアミンも併用が必要。
ニューモシスチス肺炎に対するST合剤の治療でも葉酸欠乏になるが、葉酸補充をすると治療の失敗を招くとされ通常は行わない。
必要摂取量は250μg/day程度。妊婦なら神経管閉鎖不全症を予防するために更に必要。
注意点:ビタミンB12は葉酸の利用に関わるのでビタミンB12が低下すると葉酸は上昇する(利用されなくなるから)。
ただ、これは見かけの話であって、葉酸が本来欠乏状態にある可能性は否定できない。よって、「ビタミンb12が低値、葉酸正常」の場合は葉酸欠乏の可能性も考慮する。
製剤の違い
ビタメジン:チアミン100mg、ピリドキシン塩酸塩100mg、シアノコバラミン1mg
ナイロジン:チアミン50mg、ピリドキシン塩酸塩100mg、ヒドロキシソコバラミン1mg
アリナミンF25:フルスルチアミン25mg
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