慢性膵炎フォロー時のTIPS(記載中)

慢性膵炎の血液検査

採血でのチェック項目

・アミラーゼ、リパーゼの評価(急性膵炎の可能性の評価)

・血糖値、HbA1c(糖尿病)

・肝胆系酵素(胆道狭窄などの評価)

・CEA,CA19-9(膵癌)

・総コレステロール、総蛋白、アルブミンなどの栄養状態(吸収障害の評価)

慢性膵炎の画像検査

・腹部レントゲンでも慢性膵炎の患者の30%は膵石灰化の検出ができる。

・慢性膵炎を疑う患者に対しては腹部CTが推奨される(石灰化、膵管拡張、仮性嚢胞など)。

・腹部エコー:侵襲性が低く、膵実質内

・MRCPでは膵臓の腫瘤や慢性膵炎の膵管の変化を最も良好に描出できる。そしてCTと違い被爆しない。

慢性膵炎の画像的診断基準

①特徴的な画像所見

確定所見:以下のいずれかが認められる

a.膵管内の結石

b.膵全体に分布する複数ないしびまん性の石灰化

c.MRCPまたはERCP像において、主膵管の不規則な拡張とともに膵全体に不均等に分布する分岐膵管の不規則な拡張。

d.ERCP像において、主膵管が膵石や蛋白栓などで閉塞または陽朔している場合、乳頭側の主膵管と分岐膵管の不規則な拡張。

準確診所見:以下のいずれかが認められる。

a.MRCPまたはERCP像において、膵全体に不均等に分布する分岐膵管の不規則な拡張、主膵管のみの不規則な拡張、蛋白栓のいずれか

b,CTにおいて、主膵管の不規則なびまん性の拡張とともに膵の変形や萎縮

c,腹部エコーにおいて膵内の結石または蛋白栓と思われる高エコー、または主膵管の不規則な拡張を伴う膵の変形や萎縮

日本膵臓学会編:慢性膵炎臨床診断基準2019. 膵臓 2019;34:279-281. p280

慢性膵炎の診断基準

上記の画像検査で確定所見がある→慢性膵炎の診断

上記の画像所見で準確信所見がある。↓の3つの項目のうち2つを満たせば慢性膵炎の診断

①反復する上腹部痛または背部痛

②血中/尿中膵酵素値の異常

③膵外分泌障害

慢性膵炎の病期

慢性膵炎は非可逆性で進行性の疾患である。慢性膵炎の病期は潜在期、代償期、非代償期に分類される。

潜在期:症状が出る前の時期

代償期:膵炎発作により腹痛症状が出る時期

非代償期:膵炎発作による腹痛は減少するが、膵外内分泌機能不全による消化吸収障害と膵性糖尿病が主体となる非代償期

慢性膵炎の治療

代償期の治療:反復する再燃と疼痛予防が主体。

非代償期の治療:消化吸収障害および膵性糖尿病のコントロールが重要

生活指導

・アルコール性ならば断酒の徹底

・胆石性であるならば胆石の除去

・炭酸飲料、カフェイン、香辛料などの制限(胃の刺激を介して膵外分泌の刺激する因子を避けるように指導)

・脂肪制限:疼痛を繰り返している症例では脂肪制限が最も重要。

食事中の死亡の分解産物は十二指腸や小腸粘膜からCCkの分泌を引き起こし、膵外分泌を刺激する。

・腹痛に対する治療

・蛋白分解酵素阻害剤の投与(フオイパン、ベリチーム等)

上腹部痛や背部痛などの臨床症状があり、膵酵素が高値を示す代償期においては重要。初期投与量は600mg/dayで開始し、膵炎症状および膵酵素の改善が認められたら半量に減量して、その後の投与を継続する。

・対症療法としてNSAIDsの投与

・疼痛コントロールが難しい場合は膵石や膵管内圧の上昇の可能性を考え、内視鏡的治療やESWLの適応を検討する。

参考

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/99/1/99_56/_pdf

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

コメント

コメントする

目次