高中性脂肪血症への対応

高中性脂肪血症(高トリグリセリド血症)への対応TIPS

診断基準

トリグリセライド 150 mg/dL以上(空腹時採血):高トリグリセライド血症

175 mg/dL以上(随時採血):高トリグリセライド血症

*空腹時とは10時間以上の絶食後と定義される。

原因

体質や遺伝子異常による一次性

飲酒、肥満、薬剤、糖尿病などによる二次性とに分けられる。二次性にはその他にも甲状腺機能低下症、先端巨大症、ネフローゼ症候群なども存在する。

高TG血症の意義

高TG血症は動脈硬化および冠動脈疾患の発症と関連していると報告されている。

故に、高TG血症の治療目標は心血管疾患の進展・発症を予防するためである。

(海外の報告では高TG血症の冠動脈疾患のオッズ比は1.7。しかし、高TG血症に対する積極的な治療がどの程度冠動脈疾患を予防できるかのエビデンスは十分でないのが現状)

治療

減量指導、食事指導、運動指導が治療の中心。

改善ない場合は薬物療法を考える

1,TG<500mg/dlでLDL高値も合併している場合:スタチンを使用(LDLのみならずTG低下のエビデンスもある)

2,TG>500と高値の場合や、TGが150〜500mg/dlだがLDLが低い場合はリピディルなどフィブラート系薬剤を考慮する。

TG500以下まで下がればLDL値も見ながら治療継続。

3,スタチンを使用してLDLが下がったものの、TGの管理が不十分であればEPA製剤やニコチン酸製剤の併用も検討する。

4,TG<500mg/dLなおかつLDLが低値の場合:生活習慣の改善でも高値の場合にリピディルなどのフィブラートorEPA製剤を検討

注意:スタチンとフィブラートの併用は禁忌から慎重投与に改定されたが、それでも横紋筋融解症のリスクは高く、安易な使用は避けるべきである。

★LDL高値の場合はスタチンによる治療を優先させる理由:

スタチンは冠動脈イベントを抑制するエビデンスがあるが、フィブラート系はTG値を下げるエビデンスはあるが、その結果心血管イベントを抑制するかどうかの確固たるエビデンスはない。よって、TG高値に関してはフィブラート開始も検討するが、まずはLDL高値に対するスタチンが重要である。

薬剤のTG減少効果

フィブラート:TG30〜50%減少

オメガ3脂肪酸:20〜50%減少

スタチン:10〜30%減少

エゼチミブ:5〜10%減少

TG異常高値の対応

TG>500mg/dlでは急性膵炎のリスクが高いことが知られているため、積極的にTGを下げる必要がある。

注意点

 TGが400mg/dLを超える場合はFriedweald法でのLDLは誤差が大きくなるので、直接法を使用する。

また追記します。

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