胃静脈瘤にBRTOが用いられるのはなぜか

BRTOとはballoon occluded retrograde transvenous obliteration(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術)のことである。

 

食道静脈瘤に対しては内視鏡的硬化療法が有効であるが、胃静脈瘤に対しては中々効果が上がらなかった。そこで開発されたのがBRTOという胃静脈瘤の経静脈的な治療法である。これは大腿静脈からバルーンカテーテルを侵入させ、胃静脈系と腎静脈系のシャント(つまり胃静脈瘤の排血路)でバルーンをふくらませて血流を止め、その後、胃静脈瘤に硬化剤を注入することで静脈瘤を消失させることができる。

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イラストは血管系IVR-保本卓|がん治療の都島放射線科クリニックより引用

 

健常者では胃の静脈は門脈系に流れ込むので経皮的アプローチは困難であるが、門脈圧亢進によって胃静脈と腎静脈のシャントが形成されるので大腿静脈からカテーテル侵入→下大静脈→左腎静脈→胃静脈というルートで静脈瘤へのアプローチが可能になるということである。

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