放射線治療の前に貧血の是正をする理由

放射線治療において、低酸素状態の細胞よりも高酸素状態の細胞のほうが細胞致死率が高い。このことを酸素効果と呼ぶ。

 放射線照射によって生じたフリーラジカルは分子酸素と反応してペルオキシルラジカルを形成し、これが組織損傷に大きな役割を果たしている。故にたとえば抗癌剤治療においても酸素濃度の高い部位のほうが放射線による効果は大きい。

理屈で考えれば当然であるが、貧血、特に血中ヘモグロビン濃度が10g/dl以下になるような重度の貧血の場合は組織に十分な酸素が届かないために放射線治療の効果が十分に発揮されない。故に放射線治療開始前に貧血の治療を行っておくべきである。

また、放射線治療後に再発した腫瘍は血管がうまく新生されていないために酸素効果が得られずに治療効果は低くなることがある。

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