司法解剖、行政解剖、承諾解剖の違い

■司法解剖とは…

これは犯罪に関係のある死体について、死因・損傷・死後経過時間などを明らかにするために行われる解剖である(刑事訴訟法に基づく)。司法解剖の手続きの流れとしては、検察官が裁判所に鑑定処分許可状の請求をする。裁判官が司法解剖の必要性を認めると、許可証を発行し、解剖担当者に警察官・検察官が鑑定属託書と許可状を提示した後に解剖が開始される。法的に遺族の承諾は不要であるが、その必要性の説明は必要。

 

■行政解剖とは…

犯罪と関係のない異状死体の死因を明らかにするために行われる解剖。

異状死とは「明らかな病死以外の死」である。つまり行政解剖とは検案では死因が明らかにならなかったが犯罪との関与もなさそうな死体を対象に行われる。

監察医制度のある5都市(東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市)では監察医によって異状死は全て検案、必要に応じて行政解剖が行われている(1985年までは京都、名古屋も含め7都市であった。現在、名古屋市では監察医制度はあるものの事実上機能していないようである)。

 

*監察医制度とは戦後GHQにより制定された制度。占領後の日本人の死因で餓死が非常に多かったために、もっと”正確に”死因を調べるべきということで監察医制度は施行された。

 

■承諾解剖とは…

監察医制度のない地域において、医大の法医学教室が中心となって非犯罪死体の死因を明らかにするために行われるもの。承諾解剖は司法解剖や行政解剖と異なり遺族の承諾が必要である。

 

追記:

■系統解剖

系統解剖とは医学部や歯学部などにおいて学生の教育目的のために人体を系統的に解剖することをいう。

 

■病理解剖

病院で患者が病死した場合、正確な死因や病気の進行状況、その他検査との整合性を確かめるために行われる解剖。遺族の承諾が必要である。

 

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