くも膜下出血は「人生最悪の激痛」とは限らない

くも膜下出血とはくも膜下腔にある脳表面の動脈が破裂することによって起こる。原因としては脳動脈瘤が最も多く、その他にも脳動静脈奇形やもやもや病、あるいは外傷によっても引き起こされる。クモ膜下出血の症状としては”突然”の”これまでに経験したことのないような痛み”が典型的である。

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http://healthil.jp/39065

【警告頭痛とは】

くも膜下出血による激しい頭痛の2〜3週間前に、軽度の頭痛が出現することがある。これはクモ膜下出血が起こることを警告しているようであるので”警告頭痛”と呼ばれる。警告頭痛はクモ膜下出血に先んじて動脈瘤からの微小な出血が起きていることが原因と考えられている。警告頭痛は1〜2日続いて大変不快なこともあるが、くも膜下出血に比べると痛みは軽度であるために病院に行かずに見逃されることもある。未破裂の動脈瘤を持っている患者の場合は特に警告頭痛には敏感になるべきである。また、動脈瘤が大きくなると、動眼神経を圧迫してものが”二重に見える”、眼瞼下垂などの神経症状も出現するのも診断の一助となる。

激痛でないクモ膜下出血に注意

クモ膜下出血の症状は一般的に人生最悪の頭痛と言われるほどの痛みである。

しかし、中にはNSAIDsを内服して症状がマシになっている患者や亜急性の経過を辿った頭痛あるいは上記の警告出血による頭痛で典型的なクモ膜下出血の症状とは異なり見逃されてしまう場合がある。

「痛み止めで落ち着いてるようならクモ膜下出血は積極的に疑いません」と言ってしまわないように。

クモ膜下出血の簡易のスクリーニングとしてオタワSAHルールがある。

オタワSAHルール

15歳以上で非外傷性で新しく、ひどく、1時間以内に最高の強さになる頭痛患者のうち、神経所所見や脳動脈瘤やSAH、脳腫瘍、繰り返す頭痛の既往のない者の

①40歳以上

②頚部痛か項部硬直

③意識消失の目撃

④労作時に発症

⑤直ちに最大となる雷鳴様頭痛

⑥顎を胸につけることや臥位で8cm以上頭を上げることができない場合

上記のうち1つ以上が当てはまっていたら精査が必要である。

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