伝染性単核球症へのアプローチ

伝染性単核球症へのアプローチ

発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹が3徴

咽頭所見では分厚い白苔、扁桃の腫脹が強く重篤に見える。

リンパ節腫脹は全身性。鼠径部や腋窩にも見られると伝染性単核球症の確率は上がる。

その他の症状としては上眼瞼浮腫が見られることもある。

★成人では典型的な兆候を呈さないことがあるので要注意。原因不明の発熱として数週間持続することがある。

・身体所見では肝脾腫に注目

多くの場合肝臓、脾臓の腫大を認めることが少なくない。

発症2週間目頃に最大となり、その後自然に軽快する。

まれながら非破裂を起こすことがある

15〜24歳に好発

幼少期にEBVのに初感染しても発症しないことが多いが、青年期に初感染すると70%の患者が伝染性単核球症を発症する。EBウィルスは唾液に生息し、キスによって感染するのでkissing diseaseとも呼ばれる。逆に唾液を介さない場合は感染しない。

白血球数リンパ球数が鑑別のポイント

白血球が11000〜18000と上昇。ウィルス感染なのでリンパ球が顕著に増大(50%以上)。逆にリンパ球4000/μL未満の場合にはかなり否定的。

リンパ球数あるいは異型リンパ球数は高ければ高いほど伝染性単核球症の確率は上がる。

・疑ったら検査する抗体検査

EBV抗体(EBV-IgM抗体、EBV-IgG抗体、EBNA IgG抗体)

VCA-IgM:感染1-6週でピークに達し、3ヶ月後には消退。

VCA-IgG:急性期から陽性化し、回復期に上昇。生涯持続=既感染の指標になる。

EBNA抗体:感染後6-12週間後に陽性となり、生涯持続する。(逆に発症4週間以内にEBNA抗体が陽性であれば、急性EBVは否定できる。)

また、サイトメガロウィルスも単核球症の原因として有名であり、CMV-IgM、CMV-IgGも測定する。

・治療は対症療法。抗菌薬は注意!

ウィルス性上気道炎と同様にカロナールなど解熱剤処方で良い。

アンピシリン、アモキシリン投与で95%、βラクタム系抗菌薬で50%で皮疹が出現する。伝染性単核球症自体の症状として皮疹が出現することもあるが3%以下であり稀。

*なお、抗生剤を使わなくても皮疹が起こることがある。

・患者説明:激しいスポーツは禁止

稀であるが合併症として脾臓破裂が知られている。肝脾腫が強い場合は体をぶつけ合うような激しいスポーツは1ヶ月程度しないように指示する。万が一破裂を疑う所見があれば外科/放射線科に相談。

また伝染性単核球症の症状や倦怠感は1ヶ月程度持続しうるのでその旨を説明し、必ず外来でフォローをする。

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