めまいにメイロンが効く理由

めまいで救急外来を受診される患者にほぼルーチンでメイロン(炭酸水素ナトリウム)が投与される。どういう作用機序でめまいに効くと考えられているのか?

 

メイロンの成分はHCO3-なので、これが血管内で分解されて

HCO3- + H2O→H3O + CO2

となる。CO2には血管拡張作用があるので内耳の血流増加をもたらし、虚血による局所的なアシドーシスの改善が期待されている。

 

また、メイロンには耳石を覆っている耳石の支持組織を溶解させる作用がある。耳石が周囲との繋がりが緩まると、頭位変換などによって耳石に働く慣性作用の伝達が抑制されてBPPVで生じる加速度刺激を緩和させる働きがある。

 

 

が、メイロンがめまいに有効かどうかの比較試験は行われておらず、質の高いエビデンスは存在しない。日本では頻用されるが海外では全く使われていない。ただ、メイロンには大きな副作用もないため、たとえ効果が僅かであったとしても安価であるしプラセボとしての意味もあり使用され続けている(→おまじない)。

が、メイロンには20ml静注で1.2g相当の食塩が含まれるため心不全などの患者にはむやみに使うべきでないのかもしれない。

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