咽頭・扁桃の白苔は細菌感染を示唆するものではないという話

咽頭や扁桃を観察して白苔の付着があるとウィルス感染ではなく細菌感染を示唆するとしばしば誤解されるが、実際には溶連菌感染症以外にも伝染性単核球症やアデノウィルス、インフルエンザA型などでも白苔の付着は普通に認められる。むしろ、伝染性単核球症では溶連菌感染症よりもより著明なびっしりとした白苔が認められることが多い。

 

小児例では有るが、膿栓や白苔を伴なう扁桃炎の起炎病原微生物はウィルスが多く約4割を占めると報告されている。白苔があるから細菌性と誤解しているとウィルス感染なのに不必要な抗菌薬を投与してしまうことになる。特に細菌性扁桃炎と似た症状を呈する伝染性単核球症では抗菌薬投与によって高率に皮疹を出現させてしまうので、鑑別は重要である。伝染性単核球症を疑うには白苔の著明な付着も大事だが、全身性のリンパ節腫脹や採血でリンパ球有意の上昇、肝酵素上昇などがポイントになる。

 

参考文献)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatopharyngology/23/1/23_1_17/_pdf

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