減塩して血圧が下がる日本人は半数という話

減塩して血圧が下がる人は日本では二人に一人という話

 

食塩感受性高血圧とは本態性高血圧の中でも塩分摂取によって血圧が上昇するものを言う。「塩分をとると血圧が上がる」とよく言われるが日本人においては食塩感受性高血圧は約50%過ぎないと言われており、残りの半分の人では喜ばしいことに(?)塩分をとっても血圧は変動しない。

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https://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/48086122.html

 

食塩感受性高血圧とは端的に言えば摂取した塩を体内に貯留しようとするメカニズムであり、機序としては腎臓糸球体濾過率の低下や腎臓尿細管におけるNaの再吸収亢進が挙げられる。

メカニズム:Rac-MR系:食塩負荷でミネラルコルチコイド受容体を刺激してNa再吸収。 WNK4ーNCC系:食塩負荷で交感神経が亢進し塩分排泄遺伝子の発現が抑制され、遠位尿細管でNa再吸収が亢進する

食塩感受性がどの程度なのかは様々な因子が影響するが年齢、交感神経、肥満度などによって変化する。また人種による違いも顕著であり、日本人では約2人に1人が食塩感受性高血圧であるが、白人は3割、黒人は8割とも言われている。この民族差については諸説あるが、アフリカ系アメリカ人の場合、奴隷としてアフリカ大陸から連れてこられた時に水も食事もろくに与えられない奴隷船において塩分を効率的に体内に貯留させることの出来る人間だけが選択的に生き残ったからという説もある。

 

◯食塩感受性高血圧は「減塩して血圧が下がるかどうか」

患者が食塩感受性かどうかを簡易に検査することは出来ないが、食事療法によるNa摂取量の変化と血圧の変動を見て食塩感受性高血圧診断の参考となる(ごく単純な話)。食塩摂取量の評価は容易ではないが一般的には起床後第二尿、随時尿でのNa,Cre測定による推定法が用いられるようである(食塩摂取量評価ガイドライン参照)

 

◯食塩感受性出ない人も減塩が必要

食塩感受性高血圧出ない人は、いくら塩分をとっても高血圧にはならないということになるが、実際には減塩が必要である。その理由は2つあり、1つは塩分の摂取負荷が高血圧とは関係なく独立した心血管疾患や死亡率と関係が指摘されているから。もう1つは持続的な塩分過剰摂取によって食塩非感受性の人も食塩感受性タイプに移行することが指摘されているからである。→よって減塩は誰にとっても病気予防の観点から重要。

 

また追記します。

 

参考)

・http://ajcn.nutrition.org/content/91/2/456.abstract

・Biohistory of slavery and blood pressure differences in blacks today. A hypothesis. – PubMed – NCBI

 

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