MMSEと長谷川式、FABの違い

◯MMSE:

 

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MMSEは国際的にも広く使われる認知症のスクリーニングテスト。本格的な知能検査であるウェクスラー知能検査(WAIS)との相関も高い。

・項目としては…時間の見当識、場所の見当識、即時記憶、注意と計算、再生(近時記憶)、言語(呼称、復唱、理解、書字)、構成(図形)がある。

MMSEの認知症疑いのカットオフ値は23点以下が適当であるとされている。その際の特異度が0.82-0.97、感度が0.76-0.87との報告も有る。

 

MMSEのメリットとしては世界共通であるため、学会発表や論文投稿の際などに共通言語として用いることが出来るという点。逆にデメリットとしては書字などの項目もあるため高齢者や不全麻痺のある患者などでは試験実施が難しいことがある。

*MMSE試験用紙ダウンロード→http://yoshiya-hasegawa.com/life_doctor/mmse.pdf

 

◯長谷川式HSD-R

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長谷川式認知症スケールは日本独自の評価方法。MMSEと異なり動作性検査を含んでいない。

合計30点で、27点以上が正常もしくは生理的健忘。21点〜26点が軽度認知障害、20点以下が認知症疑いとなる。認知症が確定している場合は20点以上で軽度、11~19点の場合は中等度、10点以下で高度と判定。また長谷川式認知症スケールは記憶力に関係する項目が多いので記憶力低下を主訴とする軽度認知症疑いのスクリーニングに適している。

 

*MMSEと長谷川式の弱点は遂行機能や視空間認知の評価に弱点が有る。

遂行機能の試験としてはFAB(frontal assessment battery)

 

◯FAB(→試験用紙PDF http://yoshiya-hasegawa.com/life_doctor/fab.pdf

前頭葉の機能を中心に評価する検査。言葉の概念化(類似の把握)、言語流暢性、運動プログラミング、干渉への感受性、抑制性制御、理解行動を調べる6つの項目からなっていて得点が低下するほど、前頭葉の機能障害を示唆。前頭側頭型認知症の鑑別などにも有用。

言葉の概念化(類似の把握):2つの言葉の類似性を聞く(バナナとオレンジなど)

言語流暢性:「か」で始まる言葉の列挙

運動プログラミング:机の上で拳→手刀→手掌の順に(模倣と単独で施行)

干渉への感受性:検者が1回叩いたら2回叩く、その逆も。

抑制性制御:検者が一回叩いたら1回たたき、2回叩いたら叩かない

理解行動:両手を机の上に出してもらい、検者は手のひらをあわせてくっつけて手を握らないでじっとしていられるかを観察。

 

 

また追記します

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