卵巣出血についてのメモ書き

救急外来において女性の下腹部痛では骨盤炎症性疾患、子宮外妊娠、卵巣出血、卵巣嚢腫茎捻転など産婦人科疾患も疑う必要がある。

 

・卵巣出血とは卵巣の血管の断裂によって腹腔内出血を呈する状態であり、症状としては、急激な下腹部痛で受診することが多い。

・種類としては排卵前後に起こる卵胞出血と予定月経の約一週間前に黄体形成期に起こる応対出血に大別される。

・卵巣出血の原因としては外傷性黄体嚢胞破裂が最も多い。その他、月経周期の黄体期に生じたり、性交渉を契機に発症することも有るため病歴聴取が重要。

・発症年齢は20〜40歳で78.6%と若年女性に多い。

・鑑別診断として異所性妊娠も上がるため妊娠反応検査で妊娠の否定をすることが大事。

・右卵巣からの出血が多い(右卵巣出血が7割近くを占める)。(左卵巣は直腸やS状結腸に挟まれてクッションとなっており直接圧を受けにくいが、右卵巣は仙骨と子宮に挟まれて直接圧力を受けて破裂しやすい。)

・CTでは嚢胞周囲を中心に血性腹水(CT値>20HU)を示す高吸収を呈する液体が貯留し、その内部に相対的に低吸収を示す嚢胞を認める。また、造影CTでは黄体嚢胞壁は著明な造影効果を呈するが、嚢胞自体は緊満感が低下した虚脱した様に見える。

・また、CT画像を見た時にただの腹水か血性腹水か悩ましいことが少なくない。CT値を確認する。(腹水:0-15HU、血性腹水:20-40HU、血腫〜凝血塊40-70HU、活動性出血85-350HU)

・卵巣出血は腹腔内に出血があっても保存的加療で止血することが多いが、出血量によっては循環血漿量減少性ショックになる可能性や緊急手術が必要になる可能性がある。

 

また追記します。

 

おまけ【左卵巣出血のCT画像の一例】

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参考:卵巣出血の原因は?症状からCT、MRI画像診断のポイントは? | 画像診断まとめ

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