不要な高濃度酸素投与がよくない理由

酸素化低下の患者さんが搬送されてくる時、必要以上に高濃度酸素濃度が投与されていることがある。例えば「リザーバー酸素マスク10LでSpO2 99%です」など救急隊から申し送りを受けることは多々ある。

酸素10L投与しないとSpO2が保てないのであれば仕方がないが、酸素を5Lなどに下げてもSpO2が保たれることもあるのでSpO2:99%〜100%と保たれているようであれば様子をみながら少しずつ酸素流量を下げていくべきである。

 

高濃度酸素投与を投与し続ける弊害として以下のようなものがある。

1,吸収性無気肺

2,CO2ナルコーシス

3,活性酸素による肺障害

 

当記事では吸収性無気肺について

 

◯吸収性無気肺とは

大気中にはおよそN2が80%、酸素は20%含まれている。人が呼吸して空気が肺胞に届くときも、その気体成分のうち8割は窒素で酸素は2割程度ということになる。肺胞から動脈中に酸素が取り込まれても肺胞の中には窒素が充満しているので肺胞はつぶれにくい。一方で、純酸素100%を肺胞に投与していると、肺胞中の酸素が血液中に取り込まれると、本来であれば肺胞に残るはずの窒素がないので肺胞がぺちゃんこに潰れてしまうのである。この状態を吸収性無気肺という。

重症患者であれば”念のために”と多めに酸素を投与したくなるかもしれないが、重症患者ほど肺胞が虚脱しやすいので不必要な酸素はできるだけ投与しないように意識するべきである。

 

(吸収性無気肺のイメージ)

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参照:https://blogs.yahoo.co.jp/redcrossce/65853759.html

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