ビーフリードにイントラリポスを入れると静脈炎予防になる話

ビーフリードにイントラリポスを入れると静脈炎予防になる話

 

ビーフリードはブドウ糖とアミノ酸が入った末梢静脈栄養製剤であるが、浸透圧が高いため末梢の細い血管に点滴で入れていると静脈炎を起こしてしまうリスクが高い(その結果、発赤や疼痛、感染徴候を起こしルート抜針することに…)。

 

静脈炎を予防するには輸液の浸透圧は3以下、そしてpHも生理的pH7.4に近い輸液を用いるべきである。ビーフリードの浸透圧は3であるので、末梢血管から投与可能な輸液ではあるが静脈炎を起こす事が他の輸液製剤に比べたら非常に高い。

 

そこで、脂肪製剤(イントラリポス)の混合点滴をおすすめしたい。脂肪乳剤は脂肪自体に浸透圧がないため、グリセリンなどで浸透圧が調整されており、生理食塩水と同じく浸透圧比は約1。

 

 

【各輸液製剤の浸透圧および組成】

f:id:tsunepi:20190518082650p:plain

 

高浸透圧のビーフリードに低浸透圧のイントラリポスを混合することによって浸透圧を低くすることができる。混合後の輸液の浸透圧比は、Σ ( 浸透圧比 × 液量 ) / Σ 液量 で算出することができる。 (※ 浸透圧比 : 生理食塩液に対する比)

 

例えば浸透圧比3のビーフリード500mlと浸透圧比1のイントラリポスを混合すると浸透圧は3×500+1×250/750 = 1750/750=2.33になるので静脈炎を起こすリスクを軽減できるのである。また、脂肪製剤には静脈炎予防以外にも必須脂肪酸の供給、脂肪肝の予防、タンパク分解の抑制など期待されるため禁忌でないければ積極的な使用が望ましい。

 

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

コメント

コメントする

目次