スピロノラクトンとエプレレノンの使い分け

アルドステロン拮抗薬としてスピロノラクトンとエプレレノンがある。

商品名はスピロノラクトン:アルダクトン®25mgとエプレレノン:セララ®50mg

 

アルドステロン拮抗薬はカリウム保持性の利尿薬であるためフロセミド処方患者の低カリウム血症予防目的で同時に処方されることが多い。

また、心不全の臓器障害を引き起こす標的としてRAA系の下流であるアルドステロンが注目されており、抗アルドステロン作用を持つスピロノラクトンはアルドステロン血中濃度が上昇している方が効く。心不全ではRASが亢進しているために効果が期待できる。慢性心不全患者の予後改善のエビデンスがありルーチンで使用することが多い。

 

 

どんなエビデンスがあるのか

・急性心不全患者において血中アルドステロン濃度が高いほど、発症後の予後が悪い。

・EF35%以下の心不全患者(ACEやβブロッカー処方済み)で更にスピロノラクトン投与群ではプラセボに比べて死亡リスクが30%低下、心不全悪化の再入院リスクが35%低下する(RALES試験)

・EF30%以下で軽度な心不全徴候を呈する患者で絵プッレノン投与をするとプラセボに比べて心臓血管死もしくは心不全による初回入院の発生リスクは37%低下する。(EMPHASISーHF試験)

・EF40%以下の急性心筋梗塞後患者(ACE、βブロッカー処方済み)でエプレレノンを投与するとプラセボに比べて総死亡リスクが15%減少する(EPHESUS試験)

・心不全を有していないST上昇型心筋梗塞患者にエプレレノンを発症24時間以内に開始すると心血管死、心不全、VT/VF、BNPの上昇などが有意に抑制(REMINDER試験)

一方で、EFの保たれているHFpEF心不全では効果ないというエビデンスがある(TOPCAT試験)

 

どちらの薬を選べばよいのか

・上記の通り心不全やMI後などではエビデンスが揃っている。

・しかし、利尿作用としては弱いためフロセミドなしで単独で使うことはない。

・スピロノラクトンは女性化乳房の副作用がある。スピロノラクトン中止すればまた正常化するものの若年男性では使いにくい。

・エプレレノンはアルドステロン受容体により選択的で女性化乳房などの副作用はない。しかし、腎機能低下(eGFR<50)と糖尿病性腎症(微小アルブミン尿+)患者では禁忌なので高齢者では使えないことが多い。

 

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