PCPS中の心機能の立ち上がりの評価:SvO2

 

✅PCPS患者のSvO2での心機能の立ち上がりの評価

 

PCPSからの離脱を試みるとき、どの程度心機能が立ち上がってきているかが重要である。

心機能の指標として

血圧・・・最も一般的な指標だが末梢血管抵抗に左右されるので必ずしも心臓の機能を正確に反映するとは言えない

スワンガンツカテーテルによるCO/CI測定・・・通常であれば心機能の指標として非常に有用であるが、PCPS管理中であれば脱血管が右房に留置されて脱血をしており、熱希釈法で誤差が生じてしまう。

 

 

混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は動脈血酸素飽和度、酸素消費量、Hb濃度、心拍出量の4つの濃度で規定される。SvO2は心拍出量の影響も受ける数値であることから心機能回復の指標としても用いられる。PCPS管理中であれば原則として連続的なSvO2モニターが可能なスワンガンツカテーテルを挿入することが望ましい。

 

【SvO2に影響を与える因子】

CO:storoke volume ×心拍数

Hb:出血の有無、輸血、大量輸液による影響

SaO2:呼吸器設定の変更、肺水腫の改善/悪化、人工肺の酸素可能の変化

酸素消費量:代謝の亢進/抑制、鎮静剤量、発熱、シバリングの有無など

 

 

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ただし、PCPSの補助流量は自己心の心拍出量に合わせて、後負荷にならない程度に調節しており、また末梢循環不全が出ないようにPCPSの補助流量を設定しており、またPCPSから流される血液の酸素飽和度は非常に高値であり、SVO2の数値が上昇しても自己心の立ち上がりの指標としては正確ではない。

もしSvO2が低値であれば自己心の回復が乏しく更にPCPSの補助流量も不十分である可能性があるが、逆にSvO2の数値が保たれていればそれでOKであり自己心の立ち上がりをそこから評価していくのは難しい。

 

☆SvO2の目安はどうするか

PCPSの送血液は大腿動脈からの逆行性の送血であるので流量を増やせば増やすほど心臓に対する負荷が増えてしまう。しかしそれを嫌がりPCPS flowを減らして低灌流になってしまっては意味がない。SvO2を測定して70%を維持できる流量で調節する。

 

☆PCPS離脱に関しての考え方

体外循環の灌流量を減らした場合には減らした脱血流量に相当する血液が右房に流れ込んでその分心拍出量が増える=末梢へ灌流する血液量は維持される=SvO2は下がらないはずである。もしPCPSのflowを落としてSvO2が低下するのであれば右房が血液で十分に満たされない状態(=前負荷の不足)もしくは右心房の血液を全身に送り出せていない(=心機能が回復していない)のどちらかである。鑑別には輸液負荷によって前負荷を増やしてSvO2が上昇するかどうかをみることによってできる。

 

 

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