・26歳男性
・生来健康
・主訴:3日間の発熱、乾性咳嗽、非掻痒性の発疹
・身体所見:左胸部のcrackleを聴取、手掌・足底の黄斑上の標的性皮疹
・胸部レントゲン:左下肺野の浸潤影
・その後、3日間の経過で口唇・頬粘膜、結膜、尿道口に重度の粘膜炎が出現。
さて、鑑別は?
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・血液・喀痰の細菌培養,口腔内病変からの単純ヘルペスウイルスに対するPCR検査は陰性。鼻咽頭吸引液のPCRによるMycoplasma pneumoniaeの検査と血清IgM抗体は陽性。
・ドキシサイクリンによる約2週間の治療後、呼吸器疾患と粘膜炎を完全に消失。
✅スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)は皮膚粘膜眼症候群とも呼ばれ、口唇・口腔、眼、鼻、外陰部などの粘膜にびらん)が生じ、全身の皮膚に紅斑、水疱、びらんなどが多発する疾患。発熱や 全身倦怠感 などの全身症状も出現する。スティーヴンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮 壊死 症は重症多形滲出性紅斑といわれる同じ疾患群に含まれ、びらんや水疱など皮膚の剥がれた面積が全体表面積の10%未満の場合をスティーヴンス・ジョンソン症候群と呼ばれる。
✅一般的に成人でSJSを認めた場合は薬剤性を第一に考える必要があるが、粘膜症状の強いSJS症例では年齢に関係なくマイコプラズマ感染の可能性を疑い、マイコプラズマの検査と薬剤性の検査を並行して行う必要がある。
(参考)September 27, 2018,N Engl J Med 2018; 379:1262
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