褐色細胞腫のスクリーンング(カテコラミンとメタネフリンの違い)

二次性高血圧症の鑑別診断として褐色細胞腫が挙げられる。

褐色細胞腫とはアドレナリンやノルアドレナリンなど交感神経に作用するカテコミンを産生する腫瘍である(副腎髄質から産生される)。

症状としてはカテコラミンが過剰に作用してしまうので、高血圧の他に発汗、頭痛、動悸、不安感などが生じうる。

スクリーニングの検査としては単純にカテコラミンが多く作られているかどうかを調べれば良いので、カテコラミンとその代謝産物を血液検査および尿検査で調べる。

カテコラミン3分画(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)、尿中メタネフリン分画ともに基準値の2−3倍以上であれば、褐色細胞腫が疑われる(一方で、これらが正常であっても否定はできない)

 

★メタネフリンとカテコラミンの違い

↓の図のようにドーパミンからノルアドレナリン、アドレナリン、メタネフリン、VMAと代謝されていく。ドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリンをセットでカテコラミン3分画という。メタネフリンはカテコラミン三分画の代謝物である。

メタネフリンの基準値:0.04-0.19mg/day。ノルメタネフリンの基準値:0.09-0.33mg/day。

・メタネフリン分画のほうが半減期が長く、感度・特異度が高い

・尿中メタネフリンは24時間蓄尿が歴史ある方法であるが、検査ハードルが高い(外来では難しい)

・しかし随時尿検査でも随時尿中のクレアチニン補正でも代用できる

・上記のように、従来は24時間蓄尿か随時尿のクレアチニン補正しか方法がなかったが、2019年より血漿遊離メタネフリンが保険適応となった。

・血中メタネフリンは1回の検査でわかるので非常に楽(感度が96~100%とスクリーニングに有用。特異度は85~89%なので確定診断とはいかない)。

 

★血漿メタネフリンと尿中メタネフリンのどちらを調べればよいのか?

従来は尿中メタネフリンしか保険適応でなかったが、2019年以降は血漿メタネフリンも保険適応されており、外来で簡便に検査できる上に感度も良好なので、スクリーニングとしては血漿メタネフリンで良いと思われる。

 

★食事や薬剤の影響

柑橘類やバナナ、バニラなどの摂取はカテコラミンの動態に影響を与えてしまうので注意。これらの食品にはカテコラミンが含まれるので偽高値となりうる。

薬品としてはシナプスでノルアドレナリンの放出抑制や再取り込みの阻害作用をもつ薬剤(メチルドパや抗うつ薬など)あるいはカテコラミンの代謝阻害する薬剤(MAO阻害薬やCOMT阻害薬)などが影響を与えうる

 

また追記します。。。

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