心筋虚血における陰性T波と異常Q波の違い

心筋虚血における陰性T波と異常Q波の違い

 

◯異常Q波とは貫壁性の心筋梗塞に特徴的な心電図異常であり、次のように定義されている。

Q波の幅≧0.04秒(1mm)
Q波の深さ≧R波の高さ×1/4

 

【異常Q波の例】

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画像引用:http://ishikokkashiken.com/abnomal-q-wave/

 

異常Q波は貫壁性の心筋梗塞が発生すると、数時間以内に出現する。非貫壁性の心筋梗塞の場合でも壁の2/3程度が梗塞に陥っていると異常Qが出現することがある。が、一般的に非貫壁性の心内膜下梗塞であれば異常Q波は出現しない。異常Q波の出現は心筋細胞が壊死して不可逆的な変化を意味すると考えられることもあるが、近年緊急カテーテルによる再灌流療法によって異常Q波が数時間から数日の間に消失する例が報告されており、心筋細胞の壊死ではなく一過性で可逆的な電気的休止状態(スタニング)によって出現しているとも考えられる。

 

 

◯一方陰性T波

心内膜下で心筋虚血がおこるとSTが低下して、この状態が数十分持続すると、心内膜下の心筋が壊死に陥る。

心内膜下梗塞を生じると、貫壁性梗塞の時に認められる異常Q波の出現を伴わず陰性T波が出現する。また、心内膜下の心筋壊死を反映して対応する誘導のR波が減高する。またQT延長も伴う。

 

心内膜下梗塞を疑う3つのポイント

・異常Q波なし

・陰性T波あり、R波の減高あり

・QT時間の延長

 

 

 

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