急性肝炎の劇症化のリスク:与芝の式

急性肝炎をみたら劇症化するかどうかを予想する。

 

◯劇症肝炎とは

劇症肝炎とは、肝炎ウイルス感染、薬物アレルギー、自己免疫性肝炎などが原因で短期間で広汎な壊死が生じ、進行性の黄疸、出血傾向及び肝性脳症などの肝不全症状が出現する病態のこと。「初発症状出現から8週以内にプロトロンビン時間が40%以下に低下し、昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を生じる肝炎」と定義され、この期間が10日以内の急性型と11日以降の亜急性型に分類される。

 

◯劇症肝炎のリスクを予想する

 上記の定義を満たしていたら劇症肝炎の診断をできるが、劇症肝炎になってから対応していては遅い。事前に劇症化の予想をすることが大事。

そこで。劇症肝炎を予測する与芝の式というものがある

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与芝の式のλ>0であれば劇症化する可能性が高いとされている。つまり、ビリルビンが高ければ高いほど、コリンエステラーゼが低ければ低いほど劇症肝炎のリスクが高くなるということになる(直感通りではあるが)。

 

また、与芝の式には出てこないが以下のこともポイントである。

・トランスアミナーゼの値のピークが3つ以上ある多峰性の場合は劇症化リスクあり(逆にピークが1つか2つでその後急速に低下するケースであれば予後良好)

・AST>ALT:肝細胞の破壊が持続していることを意味する

・BUNの低下でも尿素サイクルの障害を示唆

・直接ビリルビン/総ビリルビン<0.7:肝抱合能力の低下 

 

もし、劇症化するリスクがあれば移植可能な施設での治療が必要である

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