鎖骨上リンパ節腫大の原因
イメージ図:効果のメカニズムとポイント | リンパマッサージの方法
鎖骨上窩リンパ節が腫大すると悪性腫瘍の可能性を考えなければならない(鎖骨上窩のリンパ節は健常人でも大きくなりやすいので1cm以上の大きさが異常とされている。)。
体の他の部位のリンパ節が腫大している場合、悪性腫瘍の可能性は1%ほどであるが、鎖骨上窩リンパ節腫大の場合はもっと可能性は高い。とある論文によると鎖骨上窩リンパ節腫大で40歳以上の場合は90%、40歳未満の場合は25%が悪性腫瘍と指摘されている。(J fam pract.1988 Oct:27(4):373-6)
■なぜ鎖骨上リンパ節が臨床的に重要なのか
鎖骨上リンパ節は全身のリンパ流の流出路(左右の内頸静脈と鎖骨下静脈の合流点)のすぐ近くに位置しており、腫瘍なリンパ管の集約点的な場所になっている。その為鎖骨上窩リンパ節の腫大は胸腔や腹腔内の腫瘍など一般的な診察では触知できないリンパ節の腫大、悪性腫瘍を予測するための重要なサインとなりうる。
■どこの悪性腫瘍が鎖骨リンパ節に転移しているのか
解剖学的に考えると…
右鎖骨上リンパ節は胸郭内(縦隔、肺、食道)からリンパの流れを受ける
左鎖骨上リンパ節は胸郭内(縦隔、肺、食道)に加えて腹部の肝胆膵、腎臓、精巣、卵巣、前立腺からのリンパも受ける
横隔膜より上側の肺がんや乳がんは左右のリンパ節に均等に転移しうるが、横隔膜よりも下側の癌であれば左鎖骨リンパ節に転移することになる。
が、解剖学的な流れを裏切り横隔膜より下のがんでも右鎖骨上リンパ節に転移するものも一定数あるようだ(およそ25%)。原因としては転移性の腫瘍がまず縦隔のリンパ節に転移し、そこから右側の気管支縦隔のリンパ世間を経由して右鎖骨上リンパ節に転移していると考えられる。
まとめ
右鎖骨上リンパ節腫大があれば肺がん、乳がんが原因としては圧倒的に多いが、他の癌の可能性も否定はできない。
左鎖骨上リンパ節腫大があれば 肺がんや乳がんが比較的多いが、他の腫瘍の可能性も十分にあり、とりあえずは何らかの癌を示唆している
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