脂肪便の原因と機序
□脂肪代謝について
食事中から摂取された脂肪は十二指腸で胆汁酸、膵リパーゼの作用により分解され、小腸から吸収される。しかし、糞便中に中性脂肪、遊離脂肪酸、脂肪酸塩などが検出されることがあり、この状態を臨床医学的に「脂肪便」と呼ぶ。
脂肪便の原因としては
・膵外分泌機能障害
・閉塞性黄疸
・腸吸収不良症候群
・胃摘手術後
が代表的である。
それぞれの疾患においてなぜ脂肪便が生じるのだろうか。
・膵外分泌機能障害
膵臓の外分泌機能が低下している疾患(たとえば慢性膵炎、膵癌、膵結石など)において膵リパーゼの分泌の低下が見られ、中性脂肪の消化が不良になり、脂肪が便中に認められる。ただし、リパーゼは膵臓だけでなく、腸液にも存在するので、膵臓の機能が低下してもある程度の脂肪は吸収可能である。
・閉塞性黄疸
胆管が閉塞し、胆汁が分泌されない疾患。胆汁酸は減少すれば当然脂肪の消化や吸収能力は低下する。
・腸吸収不良症候群
脂肪便以外に栄養障害が見られれば吸収不良症候群が考えられる。原発性吸収不良症候群(セリアックスプルー)の頻度は非常にまれ。
・Blind loop症候群
ビルロート2法による胃摘出を行うと、盲端部に細菌が増殖して胆汁酸が奪われてしまう。すると、脂肪の消化吸収がうまく行かなくなり、やはり脂肪便となる。
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