門脈ガスと胆道気腫の違い

◯門脈ガスとは

CTなど画像検査で門脈系の静脈から肝内門脈に至る血管内にガスが存在する。多くの場合は先行する腸管壊死があり、それにより腸管内の空気が門脈系に移動した状態であり、腸管虚血を発症してからかなり時間が立っていることが多い。上腸間膜動脈血栓症,絞扼性イレウス,壊死性腸炎などによって腸管粘膜障害が起こり、腸管内ガスが移行するパターンが多い。いずれも致死的で外科治療の適応。その他の原因として、腸管内圧の上昇(腸管気腫症)や 腸管壁・腹腔内の細菌感染巣によるガス産生菌による敗血症なども考えられる。

(門脈ガスのCTの一例)

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・CTでのポイント:門脈ガスは血流の流れに沿って末梢にいく。少量だったとしても肝臓表面に移行する。後述する胆道気腫はガスは中枢側(肝門部側)に存在する。

・重力と血流の影響を受けるため,肝左葉の腹側に分布することが多く,門脈血流に乗って肝辺縁2cm以内まで達する.

 

◯胆道気腫とは

胆道(総胆管〜肝内胆管)に空気を認める状態。多くは外科手術で胆道変更術やあるいは内視鏡的乳頭切除術後、もしくは高齢者で乳頭機能不全になっている場合などに見られる。胆道気腫は門脈ガスと違って中枢に分布する。胆道気腫自体は特に無症状で病的ではない。

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