経腸栄養何で始めるか

経腸栄養の分類

・経腸栄養が大事な理由=消化管機能の維持=腸管粘膜の防御機構の維持=バクテリアるトランスロケーション予防

・経腸栄養を始める際の分類を理解する=窒素源がタンパク質か、ペプチドか、アミノ酸か

タンパク質=半消化態栄養剤

ペプチド=消化態栄養剤

アミノ酸=成分栄養剤

・半消化態栄養剤とは

タンパク質で構成されているので、これらをアミノ酸に分解する能力があることが前提。

経腸栄養剤のほとんどは半消化態栄養剤にあたる。

例:エンシュア・リキッドやラコールなど

・消化態栄養剤

ペプチド(ジペプチドやトリペプチド)から構成されているので、タンパク質から構成されている半消化態栄養剤に比べたら消化するのは楽である。ジペプチドやトリペプチドは直接小腸粘膜から吸収されるので、小腸からの吸収が容易。

例)ツインライン、ペプチーノ、ペプタメンなど

・成分栄養剤

窒素源がすべてアミノ酸のみで組成されており、消化されずともそのまま吸収される。

腸管の安静を保ちたい場合や、長期間の絶食後などで消化吸収機能が低下しているときに用いられる。クローン病などの慢性疾患にも。

低脂肪であるため長期で使用する場合は脂肪乳剤の併用が必要。

吸収されやすいのはメリットだが、長期間成分栄養剤を用いていると、粘膜の状態の維持ができないと言われている。

例)エレンタール、へパンEF(肝不全用)など

経腸栄養で何を選ぶか

・エレンタール

長期の絶食や腸管機能が低下している場合(クローン病、周術期、急性膵炎など)=成分栄養剤(エレンタール等)

・ペプタメン

絶食期間があり、消化機能がやや低下している可能性がありそうな場合=消化態栄養剤(ペプタメン®など。ペプはペプチドのペプ。)

*ペプタメンスタンダードは食物繊維が0な点に注意。

・メイバランス

消化管の能力が問題ない場合、半消化態栄養剤(メイバランス®、エンシュアなど。最も王道の栄養剤)

・PGソフト

誤嚥性肺炎を繰り返していたり下痢のある場合:半固形栄養剤。他の栄養剤と違い半固形化されているので嘔吐が少なくなり、また腸管への移動スピードもゆっくりなので下痢対策にもなる。1度にボーラス投与が可能なので介護者などの負担軽減にもなる。(例:PGソフト)*投与には20Fr以上のチューブ系が必要。

・サンファイバー®(グァーガム分解産物)

食物繊維製剤であり下痢の防止に有用。成人では1日に必要な食物繊維量は20g程度とされているが、前述のPGソフトでは3.3g/day程度しか食物繊維は含まれない。グァーガムはは下痢にも便秘にも有効。

その他各種病態別の栄養剤に関しては追記します。

経腸栄養はいつ、どうやって始めるか

・胃管チューブの大きさは?

基本は8Frを留置。胃ろうの場合は別。

・24〜48時間以内に少量で開始。

・最初から目標エネルギー量全量投与するのではなく、少量ずつ開始。

・24時間持続投与と間欠的投与がある。

間欠的投与:一日3−4回を1回200〜400mllを数時間かけて投与

持続投与:24時間あるいは12時間など10〜50ml/時など持続投与する。

★重症患者は持続投与のほうが無難。血糖変動リスクや下痢の発症率は少ない。誤嚥性肺炎のリスクは間欠的投与も持続投与も変わらない。

・開始後の経過フォロー

持続投与の場合は10-20ml/時で持続的に開始する。忍容性を評価しながら1〜2日ごとに20ml/時ずつ増量していく。忍容性の確認はバイタル・嘔吐や腹痛・下痢の有無、腹部レントゲン、採血(BUN、血糖など)である。開始1周間で目標エネルギーを25kcal/g/dayとした場合、目標の80%程度を目指す。

1週間後以降で不足している分は経静脈栄養も併用して補う。

・薬剤投与

消化管蠕動不良の疑いのある例に対しては六君子湯1回一包、1日3回、ガスモチン(1回5mg1日3回)などを投与する。

経腸栄養で下痢が起こったときの対応

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