血液培養MRSE陽性で考えること

MRSEはメチシリン耐性表皮ブドウ球菌の略称。

MRSAと同様ブドウ球菌の仲間であるが、コアグラーゼという血漿を凝固させる酵素を作るかどうかの違いがある。

黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ陽性、表皮ブドウ球菌はコアグラーゼ陰性(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌=CNSと呼ぶ)。

表皮ブドウ球菌は名前の通り、表皮に常在する細菌である。(その他にも口腔内、消化管などにも常在する)。

病原性は弱いが、健常人では膀胱炎、心内膜炎*、血管カテーテル感染症、人工関節感染、皮膚軟部組織感染症など限られた感染症の原因になる。それ以外では稀であり例えば肺炎などの原因にはなりにくい。

(*MRSEが1セット陽性であってもすぐさま感染性心内膜炎を疑ってはならない。診断基準の小基準でも、”MRSE1セット陽性の場合は除く”とわざわざ記載されている)

もし、血液培養1セットで確認された場合はコンタミの可能性もありうる菌である。

全身状態が菌血症/敗血症を疑う状況か、血液培養陽性が判明するまでの時間(3-5日など時間がかかっていればコンタミを示唆)などを総合的に考える。コンタミが疑われる場合は抗生剤無しで経過を見る。

もしMRSEを治療する場合にはテイコプラニンでは高いMICを示す場合があり、バンコマイシンが標準的。

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