一次妄想と二次妄想の違い

一次妄想と二次妄想の違い

 

妄想は一次妄想と二次妄想に分けられる。一次妄想というのは”原発性妄想”と同義であり、真性妄想とも呼ばれる。一方、二次妄想は”続発性妄想”と同義であり、妄想様観念とも呼ばれる。

 

 

■一次妄想について

一次妄想とは突発的に誤った確信を持つことであり、その心理や思考過程が他者からしてみて全く理解できない(了承不能)ものをいう。脳機能の器質的な異常が原因であり、統合失調症で見られる。

一次妄想はその種類によって3つのタイプに分類される。

 

・妄想知覚

知覚した対象に突然特殊な意味付けをしてしまう事を言う。

例えば家の前に止まっている車を見て「CIAの捜査官が監視している」などと妄想してしまう。実際に車が止まっているのは事実で、それを視る能力にも異常は無いが、それに対する異常な意味付けをしてしまうのである。

 

・妄想着想

心理学的に何の背景も無いのに、突然ある考えを思いつき、それに執着してしまうことである。妄想知覚のように、何かを見たり聞いたりして、そこから異常な考えを思いつくのではなく、知覚なしに妄想してしまうのである。

例えば、「自分は神の生まれ変わりだ」や「もうすぐ地球は滅亡する」などということを文脈無く突然確信してしまう。

 

・妄想気分

特に理由があるわけではないが、周囲の世界がいつもと異なり、何か不気味なこと、恐ろしいことが起きようとしていると考えてしまうことを言う。特に統合失調症の初期で見られる。

杞憂という言葉は中国古代の杞の人が”天が崩れ落ちてくるかもしれない”と心配していたという事に由来しているが、その心配が脅迫的・確信的であったのなら妄想気分と診断されたのかもしれない…。

 

■二次妄想について

二次妄想とはその思考過程を心理学的背景から理解できる(了承可能)である。

妄想の内容により様々なパターンが知られている。以下いくつかの例。

 

被害妄想:

特定の人間や組織が自分に悪意を持っていると勝手に考えてしまうこと。営業の電話が家にかかってくると、それを誰かの嫌がらせと思い込んでしまったりする。

 

微小妄想:自分の人格や能力を過小評価して考えてしまうこと。例えば本当は健康であるのに、自分は癌にかかっててすぐに死んでしまうのではないかと考える心気妄想や、お金に困っていないはずなのに今月の家賃が払えなくてどうしようかと思いつめてしまう貧困妄想などがある。

 

誇大妄想:微小妄想の逆で、自分の能力や地位などを過剰評価してしまう状態。本当は平凡な能力しか無くても天才と思い込んでしまったり、ちょっとした発明や研究を確信的な発明と考えてしまったりすること。

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