血液培養はいつ行うか
血液培養とは文字通り血液を採取して、その中に菌がいるかどうかを培養することにより確かめる手法である。重篤な感染が疑われる場合は抗菌薬投与前に2セットの血液培養採取が必要である。
血液培養の適応は原則的には血液の中に菌がいると考えられるとき(=菌血症を疑う時)。ではどのようなときに菌血症の可能性を考えなければならないのか。
血液培養を取る例
・菌血症を疑う時(高温/低体温、悪寒戦慄/寒気、頻脈、頻呼吸、意識レベル低下・変容)
・敗血症疑い(qSOFAスコア:sBP100mmHg以下、呼吸数22回/分以上、意識障害GCS15未満)
・説明の付かない代謝性アシドーシス
・体調の変化をきたした高齢者
・原因不明の意識障害(CT・MRIで頭蓋内病変否定される意識レベルの低下)
・原因不明のショック
・原因不明の腎障害、肝障害、呼吸不全
・抗菌薬を変更する時(抗菌薬使用中であれば、抗菌薬使用直前に採取する(=感度が上がるから)。
・心内膜炎疑い(心臓弁置換の患者の原因不明な体調不良)
・広域抗生剤開始する時(メロペネムやゾシンなど)
・抗菌薬を変更する時、治療に難渋する時
①レジデントのための感染症マニュアル ②https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/kansen/data/luncheon_20170419.pdf
逆に菌血症を疑わない時は血液培養の必要はない。例えば明らかなインフルエンザ患者に血液培養をする意味は無い。
①38度以上の発熱がなければ血液培養をしないというのはナンセンス。
→重症化すれば低体温になることがある(SARS)。また高熱になると血液中から細菌が消失して血液培養の感度は下がりやすくなる。
②血液培養は1セット20mlが理想的。多いほど感度が上がる。15mlしか採取できなければ好機ボトルは10ml、嫌気ボトルに5ml入れる(嫌気性菌の血流感染の頻度は5%と少ない)。
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