ESBL産生菌に内服抗生剤は使えるか?

ESBL産生菌への第一選択薬はカルバペネム系薬剤もしくはセフメタゾールである。

一方で、特殊な事情により内服薬を使いたいケースもあり得る。

ESBL自体は、βラクタム以外の耐性に寄与しないので、βラクタム以外の抗菌薬に感受性があれば使用は可能。

ST合剤、ホスホマイシン、ニューキノロン等についてどうなのか調べました。

✅ホスホマイシン

ホスホマイシンはバイオアベイラビリティーが悪いが,ニューキノロンやST合剤が使えない場合,尿路感染症(特に軽症の場合)でESBL産生大腸菌へ使用を検討することがある。もちろん、使用経験は少なくカルバペネムやCMZの使用を優先する。

参考:https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2018/PA03291_04

✅ST合剤

ST合剤は尿路感染症の経口治療薬として有用である可能性がある。とある報告によると下部尿路感染症に対してST合剤が70%の臨床的有用性を示したという。しかし、もちろんST合剤耐性のESBL産生菌もあるため、地域の耐性率や感受性結果を確認することが重要である。

参考:Seputiene et al. (2010) Antibiotic resistance genes and virulence factors in Escherichia coli isolated from diseased farm animals in Lithuania. Vet Med (Praha). 55(6):286-293.

✅ニューキノロン(例:レボフロキサシン)

効くこともあるが、ESBLは一般的にニューキノロンに耐性を持つことが多く注意。ESBL産生菌は、しばしばニューキノロン系に対しても耐性を示す。これは、ESBLを産生する遺伝子とキノロン耐性遺伝子が同じプラスミド上に存在することが多いためである。つまり、両方の耐性が同時に獲得・拡散されやすくなる。また、ニューキノロン系薬の使用により、ESBL産生菌が選択的に生き残りやすくなる。こうした遺伝学的・薬剤学的な背景がESBL産生菌のキノロン耐性と関連していると考えられる。

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