ERの採血で患者のカリウムが低かったら…
血清カリウムの基準値は3.5〜5.0mEq/dl
◯カリウムの殆どは細胞内にある
体内のカリウム総量(3600mEq)の2%(70mEq)ほどしか細胞外液に存在せず、それ以外のカリウムは細胞内に貯留されている。よって多少のカリウムを喪失しても細胞内から血中へ出てくるので血中カリウムは低下しない。一方でカリウムの増加では血中カリウムは容易に上昇する。
血中カリウムが正常値から0.3mEq低下するごとに体内のカリウムが約100mEq失われると言われている。(覚えておくと便利)
◯低カリウム血症の鑑別
(消化管への喪失、腎臓からの喪失)
・下痢、嘔吐
・利尿薬
・下剤の乱用
・摂食不良
・低マグネシウム血症
・アルドステロン分泌増加、ミネラルコルチコイドの作用上昇(特に甘草に注意)
(細胞内への移動)
・インスリン(Na/K-ATPaseの刺激)
・β刺激薬による(Na/K-ATPaseの刺激)
・アルカローシス
・低カリウム性周期性四肢麻痺
◯低カリウム血症の症状
筋力低下、倦怠感、便秘、腱反射低下など
(重症例だと呼吸筋麻痺や横紋筋融解症を引き起こす)
◯どう治療するべきなのか
(軽症例):カリウム3.0mEq/dl以上の時
3.0mEq/dl以上あれば無症状のことが多いが原因不明ではよくない。原因がはっきりしていて、重症化するリスクが低ければカリウムの豊富な食事摂取を指導するなどして帰宅可能。
(中等症〜重症例)2.5mEq/dl以下であれば直ちに治療を開始する。
治療方法は経口か、点滴かの2通り。
1,経口のカリウム製剤(スローケー®)一回2錠、1日2回
(slow K:ゆっくりとカリウムが吸収されるという意味)
2,カリウムの点滴静注
速度20mEq/時以下、濃度40mEq/L以下で投与(これも覚えておく)。
一般的には生理食塩水(500ml)にKCL20mEqを1時間以上かけて投与する。
・特に症状がある場合や不整脈が出現している時は経静脈的に治療が推奨される。
(また追記編集します…)
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