低血糖発作へのアプローチ

低血糖患者が救急に搬送されてきたら・・・

ということはあまりないかもしれないが、意識障害や痙攣患者の迅速血糖測定をして低血糖が見つかるというのは救急でよくある。一般的には血糖が55以下で交感神経刺激症状、血糖55以下で中枢神経症状が出現するとも言われており、様々な主訴で救急外来を受診される。

 

低血糖が見つかったとき、どのように対応すればよいのか。

 

(低血糖による症状のイメージ)

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糖尿病の治療薬-第11回 インスリン療法-その6|糖尿病特集サイト メディマグ

 

 

【低血糖への初期対応】

・意識障害がない場合はブドウ糖10〜15gを服用させる。甘いジュースなどでもOK

・意識が少しでもぼーっとしているような場合だと無理に経口投与すると誤嚥する可能性があるので静脈からの投与が無難。

・意識障害がある場合はルートキープして50%ブドウ糖40mlを静脈注射。その後10%ブドウ糖500mlを投与。

・血糖値はブドウ糖投与後30分で元の値に戻る。投与後5−10分後が最も高値。

・低血糖は50%ブドウ糖を40ml注射すれば速やかに改善するが、また時間をおいて血糖を測定すると再度低血糖になっている可能性が十分にあるので原則入院で経過を見る。

・糖尿病患者であれば入院後は原則経口血糖降下薬とインスリン固定打ちは中止。急性期は10%ブドウ糖を投与しながら高血糖になったらスライディングスケールで対応が無難。

・低血糖のエピソード後、2−3週間は低血糖への反応閾値が高くなり、無症候性低血糖を起こしやすいので要注意。頻回の血糖測定は必須。

 

【低血糖の原因検索・鑑別】

・薬剤性低血糖

糖尿病患者であれば使用中の薬剤確認。SU薬が最もリスク高い。また、DPP4阻害薬などの経口血糖降下薬との相互作用もありうる。倦怠感などで食事摂取できていなかったが糖尿病薬はいつもどおり飲み続けていなかったかどうかなど要確認。

糖尿病薬以外にも低血糖を惹起しうる薬は多数報告されてるので、新規に内服を始めた薬剤がないか注意。

*DM薬以外で低血糖を起こす薬(byジェネラリストのための内科診断リファレンス)

・インスリン分泌亢進:抗菌薬(ST合剤、キノロン)、鎮痛薬(NSAIDS,アセトアミノフェン)、抗うつ薬(MAO阻害薬、三環系、SSRI)、1a・1c群抗不整脈薬

・インスリン感受性亢進:βブロッカー、ACE阻害薬

・糖新生減少:βブロッカー

・SU薬の濃度上昇:クラリスロマイシン

   ↓

・反応性低血糖

食事による誘発。食後2−4時間で低血糖症状が出現する場合に考える。

リスクとしてあるのは胃がん切除後のダンピング症候群や早期糖尿病。

   ↓

・二次性低血糖

副腎不全(コルチゾル、ACTH)、肝硬変、腎不全、アルコール多飲による飢餓などないかチェック。アルコール依存症の患者では肝臓でのグリコーゲンが枯渇しているのとアルコールが糖新生を抑制することから低血糖をきたしやすい。

   ↓

・インスリン自己免疫症候群

空腹時低血糖・血清免疫反応性インスリン高値・血清中のインスリン自己抗体の存在の3つで特徴づけられる自己免疫疾患。

→血清インスリン高値、抗インスリン抗体陽性などないかチェック。

   ↓

・インスリノーマ

低血糖の時に血中インスリン、Cペプチドともに高値を認めた場合、膵臓β細胞からの自立分泌が考えられ、インスリノーマが疑われる。インスリン(μU/ml)/血糖(mg/dL)≧0.3か低血糖時のインスリン≧5μU/mLで強く疑われる。

インスリノーマの確定診断には72時間絶食試験が必要。

1、絶食によって低血糖が誘発される

2,低血糖であるにもかかわらず血中インスリンおよびCペプチドが高値

3、低血糖にもかかわらず血中ケトン体が低値

4、低血糖時にグルカゴン注射を行い血糖上昇が認められることを示し、低血糖がインスリン作用によることと低血糖時のインスリン分泌抑制ができていないことを示す必要がある。

 

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