振戦の鑑別・対応

どういうときに振戦が起こるのか

・安静時振戦:パーキンソン病

・姿勢時振戦:本態性振戦、薬剤性、代謝性、小脳疾患

・企図振戦;血管障害、脱髄、腫瘍、小脳変性症

発症経過による鑑別

・急性発症:代謝性(甲状腺、肝機能障害(羽ばたき振戦)、アルコール、ウィルソン病)、薬剤性、心因性

・慢性発症:本態性振戦、パーキンソニズムなど

甲状腺機能亢進症・低血糖

・突如振戦が発生すれば、まずは低血糖を疑う。

・甲状腺機能亢進症でも生理的振戦の増強を認める。

羽ばたき振戦

重度の肝機能障害で起こるが、ウィソン病、尿毒症、高炭酸ガス血症、電解質異常などでも生じる。手関節を背屈させて手指・上肢を伸展させてその姿勢を保持すると急速な掌屈・背屈を繰り返す。

本態性振戦

・主に上肢に出現。姿勢時と動作時に出現。安静時にはない。

・人前で署名するときなどによく見られる。

・アルコールで減弱することが多い。

・家族歴があることが多く、加齢とともに発症率は上がる。

本態性振戦の治療:

保険適応があるのはアロチノロール。1回5mgから開始。最大30mg/day

アロチノロール無効の場合はプロプラノロール(インデラル)、プリミドンが推奨されるby米国神経学会の指針

パーキンソン病

・一側上肢の指末端で振戦を発症し、徐々に前腕へと広がっていく。

・左右差があるのが特徴。

・上肢だけでなく下肢や下顎、口唇などで認められることもある。

・また、睡眠時には消失し、随意運動で振戦は抑制されるという特徴もある。

4徴:安静時振戦+無動+筋強剛+姿勢反射障害の確認

薬剤性振戦

・心臓疾患薬:アミオダロン、メキシレチン、プロカインアミド

・喘息薬(SABA、テオフィリン)

・メトクロプラミド(腎機能障害がリスク)

・抗精神病薬、抗うつ病薬(アミトリプチン、リチウム、SSRI)、抗てんかん薬(バルプロ酸)

高齢者のメトクロプラミドは原因として多い

中毒性振戦

マンガン、水銀、鉛中毒などで振戦が起こる事がある。

末梢神経病変

まれな病態だが末梢神経病変でも振戦が起こりうる。

糖尿病、尿毒症、CIDP(慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー)、M蛋白血症やポルフィリン症などに合併する末梢神経障害患者に動作性振戦が起こりうる。

また追記予定です。

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