イレウスで造影CTを(ほぼ全例)取ったほうが良い理由

イレウスの診断で最も重要なことは絞扼性イレウスを見逃さないことである(外科的な治療が必要になるので治療方針が全く異なる)。

一般的には絞扼性イレウスの特徴は次の通り

・症状は激しく、腹膜刺激徴候を認め、ソセゴンなどが効かない激痛

・採血では炎症反応やLDHの上昇を認め、血液ガスで乳酸上昇・代謝性アシドーシスを認める

・単純CTにてclosed loopの形成や大量の腹水、腸間膜脂肪式濃度の上昇、腸管気腫、門脈内ガスの存在である。

これらの所見を満たさなければ絞扼性イレウスは否定的とも言えるが確実でもない。

特に初期のイレウスでは腸管虚血が進んでおらず、感度が十分ではないのである。

よって、造影CTを取らなくても絞扼性イレウスを除外できるというのは誤りであり、除外できているのは運に恵まれているからであるという認識を持つ。イレウス入院で造影CTを取らずに経過観察入院の場合は常に絞扼性イレウスの除外ができていないという認識が必要である。

もちろん、高齢者などであれば腎機能の低下がありなかなか造影CTを取りづらい症例もあるので、症状が落ち着いているのであれば造影までは取らずに様子を見て、絞扼性イレウスを示唆する状況を認めたらその段階で造影CTを施行するなどの個別の対応が必要になることもある。

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