頭部外傷患者で(も)内服例の聴取が大事
高齢者の頭部外傷においては必ず内服歴を確認する必要がある。とある報告*によるとワーファリンなどの抗凝固薬を服用している場合、神経学的所見が陰性であっても頭部CTで頭蓋内出血を認める例が25%とかなりの頻度であるようである。よって抗凝固薬服用中の患者の頭部外傷では神経学的所見が全て陰性でも頭部CTで出血の有無を確認することが必須。
ワーファリン服用中であれば場合によっては採血でPT-INRの確認が必要。外来定期フォローでPT-INRのコントロールが良好とわかっている場合は必ずしも採血はいらないが、最近服薬量が変更になっている場合や、コントロール不良の場合は採血しておくのが無難。PT-INRが延長している場合はワーファリンの服用の中断を指示するとともに拮抗薬であるビタミンK製剤を投与する。
(↓過去記事より:PT-INR延長時の対応 – つねぴーblog)
INR=1.0〜5.0の時:経過観察
INR=5.0〜8.9の時:1回もしくは2回のワルファリンの中止そしてビタミンKを1.0-2.5mg経口投与
INR=9.0以上の時:ワルファリンの中止。経口ビタミンK5〜10mgの投与。治療域に改善した後、低用量のワルファリンを再開。
INR値に関わらず、脳出血など重大な出血が起きている場合:ビタミンK10mgをゆっくり静注、それに加えてFFPを10-20mL/kgで投与。INRのフォローは必要に応じて十分に行う。(ちなみに静注も内服も効果の強さは同じ。静注の方が速やかに吸収されて効果が早く出現するので緊急事態の場合は静注を選択する。)
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