症例)
74歳男性
末期腎不全と冠動脈疾患の既往あり。
3日前から食欲低下、全身の脱力感が出現。透析中に意識レベル低下あり救急受診。
診察時には簡単な質問にしか答えられない状況
胸部レントゲン:縦隔陰影の拡大あり
胸部単純CT:大動脈壁内ガスが判明。
血液培養でグラム陽性桿菌が検出
さて、鑑別は…?
検査の続き
・血液培養でグラム陽性桿菌が検出(→Clostridium septicumと判明)
・感染性気腫性大動脈炎と診断
(気腫性大動脈炎とは)
✅Clostridium septicum(クロストリジウム・セプチカム)とは:
クロストリジウム・セプチカムは,大腸癌や造血器腫瘍などの悪性腫瘍患者で検出されることが多い。外傷患者にも見られる。本症例では腹部CTにて粗大な消化管腫瘍などは指摘できなかったが、何らかの悪性腫瘍が存在した可能性がある。
C. septicumは死亡率が高く、進行が速いことから、大動脈壁のガス像などを見つけたら鑑別にあげて早期介入が重要。また、大腸癌や血液疾患の精査も忘れずに。septicumは消化管から血流に入ると考えられており,動脈硬化性プラークを播種し、大動脈壁のガス壊疽に至る(→動脈硬化の強い患者はリスク因子)
C. septicumはグラム陽性の偏性嫌気性菌で、正常な腸内細菌叢の一部である。C. septicumは筋壊死と外毒素の放出により感染を引き起こす
治療は大動脈のデブリードマンと抗生剤。死亡率は報告にもよるが50〰100%と非常に予後は悪い。
・大動脈ガス像の例その2
また追記するかも知れません。
元ネタ)
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