救急外来でめまい患者に頭部CTを撮る意義

めまいを主訴に救急外来に来られる患者にほぼルーチンで頭部CTが取られることがある。が、頭部CTで問題がないからといって頭蓋内に病変がないと言えるものでもない。

 

頭部CTを取る意義は主に次の3点である。

・脳出血がないか

・大きな脳梗塞がないか

・脳腫瘍など他の疾患が隠れてないか

 頭部CTで脳出血は検出できるのでたしかに意味はある。

が、脳梗塞の場合、急性期や小さな梗塞であれば頭部CTでは中々見つけられない。また、頭部CTはめまい患者で特に注目したい脳幹や小脳の脳梗塞の検出能が低い。

そして脳腫瘍などが原因でめまいとなっている場合はERで頭部CTを緊急で取る必要性に欠ける。

 

→結局はERで頭部CTを取る意味は脳出血の否定につきる。脳幹などテント下で出血を起こしていると脳幹を圧迫し、一気に意識レベルが低下するので出血の否定をしておくというのは非常に大事なことである。

 

が、頭部CTで検出できるような大きな梗塞や脳出血の場合たいてい他の神経学的症状(麻痺や構音障害、失調など)を伴っていることが多いので、原則としては身体所見をしっかりとるということになる。

もちろん、めまいの強い患者や高齢者などで指示の入りづらい患者では所見も正確に取れないことが多いので所見をパスして頭部CTを取ることもある。

 

また、次の論文によれば…

Dizziness and yield of emergency head CT scan: Is it cost effective? | Emergency Medicine Journal

めまいだけを主訴に来院した患者200人に頭部CTを行ったが出血や梗塞などめまいの原因を指摘できた患者は0人だったという大変教訓的なデータもある。

 

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